カードローンの借り入れを行なったことがある人ならば、収入証明書が必要となるケースはある程度把握しているでしょうが、初めて利用する場合には収入証明書が本当に必要となるのか疑問に思うかもしれません。
カードローンには金融業者ごとに収入証明書を求める基準があるので、必ずしも提出を求められないこともあります。
収入証明書って?なんで必要になるの?
カードローンを利用する際に求められることのある収入証明書は、特定の条件に当てはまった場合に提出が必要になります。
各金融業者によって必要となる基準は異なりますが、貸金業法に基づく貸付を行なう信販会社と消費者金融では、法律上の規定に基づいた収入の確認が必要となります。
一方、銀行カードローンでは、法律上の規定ではなく社内基準により収入証明書提出の有無が決まります。
収入証明書とは?
収入証明書とは、昨年1年間(昨年1/1~12/31まで)に得た具体的な金額を証明するための書類です。
カードローンの申し込み時に記入した年収を得ていることを証明するために、本人以外が作成した書面で誤りがないことを確認するための書類です。
直近の収入であれば、給与明細書が該当しますが、前年度の年収であれば、会社員ならば源泉徴収票の提出を行えば済むでしょう。
カードローンやクレジットカードの契約以外にも賃貸物件の入居審査、保育園、結婚相談所などでも収入証明書を求められることがあります。

あとは住宅ローンや自動車ローンのような金額の大きな借入れは必須と思ったほうがいいわ。
提出先によって規定があるケースもありますが、基本的には以下のような証明書が有効です。
種類 | 発行機関 |
---|---|
源泉徴収票 | 勤務先 |
給与明細書 | 勤務先 |
課税証明書 | お住まいの地域の役場 |
納税証明書 | 税務署 |
確定申告書 | 申告した際の控え |
年金通知書・年金証書 | 年金機構 |
給与明細だけじゃない!こんな書類も有効になる
カードローンを申し込む人の職業は、会社員とは限りません。
会社員ならば給与明細書と源泉徴収票がありますが、自営業者や法人役員であれば、納税証明書や課税証明書、税務署の受領印が押された確定申告書といった書類も有効です。
また利用限度額が200万円を超える場合には、特別徴収税額の通知書を提出するように指示されることもあります。
職業によって提出できる書類が変わるので、最初から複数の選択肢が用意されています。
課税証明書は納税額を証明する書類ですが、所得金額も記載されていますので、収入証明書として提出可能です。

所得証明書や課税証明書などの市税の証明書の発行手続きは、自動交付機やコンビニでもできる自治体が増えています。

コンビニ交付サービスなら税証明書等の手数料は窓口よりも安く設定されているケースがほとんどよ。
消費者金融で収入証明書が必要な理由
カードローンの審査を行なう際には、申し込み先の貸金業者で自己申告による収入が本当に正しいのか確認する必要があります。
個人信用情報機関へ信用情報照会をかけただけでは、税務署へ申告している所得まで把握できないので、より正確な年収を知る必要がある場合に収入証明書を審査の過程で必要とします。
とりわけ、貸金業法により貸付を行なう信販会社と消費者金融では、総量規制を遵守するために正確な年収を知る必要があるので、法律上の定めにより収入証明書の確認が必要となるケースが出てきます。
貸金業法に基づき貸付を行なう消費者金融の場合は、年収の1/3以内に借入総額を制限する総量規制で定められています。
消費者金融への申し込み時に1社につき50万円を超える借入を希望する場合や、他社を含めた合計借入額が100万円を超える場合には、収入証明書の提出が義務付けられています。
収入証明書を偽造するとどうなる?!
融資などの審査に不安を覚える人のなかには、収入証明書を偽造して提出してしまう人がいます。
収入証明書の偽造を行なった段階で、刑法第161条の偽造私文書等行使の罪に該当し、実際にカードローンなどの融資を受けると刑法第246条の詐欺罪に該当します。
最近では、ソフトで比較的簡単に偽造できてしまうので、安易にやってしまう人がいるかもしれません。
ただ、偽造し文書等行使の罪は、1年以下の懲役か10万円以下の罰金ですが、詐欺罪は10年以下の懲役となります。
一時の気の迷いで後悔しきれない傷を残すのはやめましょう。

以下の記事で収入証明書の偽造について詳しく解説しています。
収入証明書を偽造してカードローン?!知らないと怖いカードローン審査のウラ側
比較的カンタンに入手できる収入証明書とは?
カードローン申し込み時に求められる収入証明書は、複数の選択肢から選んで金融業者へ提出可能です。
比較的入手しやすい収入証明書ならば、事前に準備しておくこともできるでしょう。
会社員と自営業者では、用意可能な収入証明書の種類も変わりますが、カンタンに入手できる証明書の種類を知っておくことが大切です。
給与支払明細書
法律により給与の支払いは月に1回以上行われなければならないので、会社員ならば給与支払明細書は毎月1枚以上発行されるはずです。
近年はオンライン化された給与支払明細書もありますが、印刷方法を調べておけば、最も手軽に入手可能な収入証明書となります。
給与支払明細書を収入証明書とする場合には、複数ヶ月分を連続して必要となるので、直近3ヶ月分程度は保管しておくと良いでしょう。
源泉徴収票
年末調整が行われた源泉徴収票が、年末になると発行されることが一般的です。
医療費控除など確定申告により税金の還付請求を行なうために必要となるので、年末になると自動的に作成されて届けられます。
源泉徴収票を紛失していなければ、既に自宅にあるので入手しやすさという点では優れています。確定申告を今まで行ったことがなくても、12月の給与明細書と一緒に届いていることが多いので、一度探してみるといいかもしれません。
課税証明書
課税証明書は、市区町村の役場で発行してもらえます。役所に出向いて手数料を支払って入手する必要がありますが、自治体により市民カードを交付していて、設定が済んでいればコンビニエンスストアにて交付を受けることも可能となっています。
窓口業務の軽減という役割だけでなく、平日昼間に市区町村役場まで出向くことが難しいケースであっても、窓口以外での発行手段があれば利便性が向上するでしょう。
課税証明書の発行は、自治体ごとに手軽さに差があるので注意が必要です。
実践!所得証明書の取り方
所得証明書を取得したことが今までになければ、何処でどのような手続きを行えば良いのか悩むかもしれません。
所得証明書は、課税証明書または非課税証明書と同様に申告書や給報・年報等の課税資料などに基づき所得を証明する書類なのですが、書類の種類によって記載される項目が変わってきます。
利用目的に合わせた証明書を、住民票を置いている市区町村にて取得する必要があります。
交付窓口について
所得証明書は、市区町村の課税課へ行き窓口交付を受ける取り方が一般的です。
収納課で取り扱う市区町村もあるので、自治体により所得証明書を取り扱う部署名が異なることは珍しくありません。
また、転居を行っている場合には、前年度の所得証明書が必要な場合には、前年の1月1日時点で住民票を置いていた住所地の市区町村役場で交付を受ける必要があります。
所得証明書を取得希望する年の1月1日時点を基準として所得証明書の管理はされているからです。
所得証明書は住民税の課税証明書を兼ねていることが多いので、前年の所得証明書が発行できるのは、翌年の6月頃となります。1月~5月の間に所得証明書を取得する際には、2年前の証明書となる点に注意が必要です。
手数料がかかる
所得証明書の交付には、市区町村役場へ納付する手数料として300円程度必要となります。住民票同様に取得手数料は全国一律というわけではなく、自治体により異なる点に注意が必要です。
また、市民カードによる機械交付を受ける場合に限り200円にて交付を受けられる制度を設けている自治体も全国主要都市を中心として存在しています。
さらに個人番号カードを利用したコンビニエンスストアでの交付に対応している自治体も登場している状況です。
申請時に必要なもの
本人が直接窓口申請を行なう場合には、本人の身分証明書と印鑑があれば、窓口に用意されている申請書類へ記入して申請可能です。本人以外の家族が代理人として所得証明書の交付を受ける場合には、同一世帯に限り認められます。
転居を行い市区町村外に住民票があると、必要に応じて同一世帯を証明できる住民票と委任状を持っていなければ手続きできないことがあるので、注意が必要です。
窓口に向かう前に、自治体に対して電話連絡で必要書類を確認して揃えてから向かうことが望ましいです。
市町村税・都道府県税の課税証明書の交付手続きでは、本人確認書類を求められます。身分証明書は顔写真付きの免許証を用意しておくとスムーズです。
マイナンバーは記載されている?
マイナンバーの管理は、必要な手続きに限定されています。マイナンバー取扱者以外に自身のマイナンバーを知らせてはならないことから、所得証明書にマイナンバーは記載されることはありません。
自治体の窓口で誤ってマイナンバーが記載された所得証明書が発行されてしまった際には、受け取り時に申告すれば再度所得証明書の発行をしてもらえます。
実は郵送でも交付してくれる場合がある!?
以前住んでいた地域に代理人をお願いできる人がいない場合や、証明書のために税務課に行けない場合には、郵送での交付をお願いできるケースもあります。
以下の書類を準備して税務課へ郵送しましょう。
- 交付申請書(ホームページからダウンロード)
- 申請人の本人確認ができるものの写し
- 手数料と同額の定額小為替
- 返信用封筒(返信先を記載し切手を貼ったもの)
ほとんどの市区町村で郵送での対応が可能ですが、事前に窓口へ電話して、可能かどうかや必要書類についても確認しておくと安心です。
収入証明書が必要になるケースと不必要なケース
カードローンの申し込み時には、審査の際に収入証明書が必要となるケースは限られており、多くの場合で収入証明書不要のまま手続きが進みます。
では、実際に収入証明書が必要なケースと不必要なケースにどのような違いがあるのか、事前に把握しておけば準備しやすくなるでしょう。
消費者金融の場合
消費者金融が貸付を行なうカードローンでは、貸金業法に基づく総量規制を遵守するために、法律で定められた貸付を行う場合に収入証明書が必要です。
具体的には、1社からの50万円を超える借り入れを希望する場合と、他社を含めた借入額合計が100万円を超える場合には、法律に基づく証明書の提出が義務付けられています。
どちらにも該当しない場合には、審査上ボーダーラインとなっているために、収入証明書の提出を求める可能性がありますが、提出の有無がそのまま審査可否を左右すると考える必要があります。
消費者金融から収入証明書の提出を求められるのは、大半が法律に基づく確認が必要だからです。
銀行カードローンの場合
銀行カードローンは、銀行法に基づく貸付なので、貸金業法に基づく総量規制対象外です。収入証明書の提出の有無は、銀行内の社内規定に基づき確認が必要と判断された場合のみ、収入証明書の提出が求められます。
同じ金利設定で利用限度額も同じであったとしても、銀行により収入証明書提出有無を決めるラインは異なります。
50万円を超える借り入れを行なう場合に収入証明書提出が必要な銀行があれば、一方では300万円未満の利用限度額については収入証明書提出不要としている銀行も少なくありません。
銀行カードローンで収入証明書の提出が求められるかどうかは、あくまでも銀行内の社内規定によります。
まとめ
消費者金融のカードローンの申し込み時に必要となる収入証明書は、法律に基づき必要となる場合に提出を求められます。一方、銀行カードローンでは、銀行の社内規定に基づき審査上で必要と判断された場合のみ収入証明書の提出が求められます。
収入証明書の提出基準は、消費者金融と銀行とでは大きく異なることを覚えておきましょう。