過去や現在において、貸金業者に対して長期延滞や債務整理を行なった場合には、新たにカードローンを申し込んでも審査に通過することはありません。
金融機関の間で共有するブラックリストに載っていると考えられるからです。
しかし、いつになったらブラックリストから開放されるのか、自分で確認できる方法を知らなければいつまでも不安な状況が続いてしまうでしょう。
そもそもブラックリストって何?
貸金業者が銀行、信販会社、消費者金融といった業種別に信用情報を共有する制度を作ったことが影響しています。
個人信用情報機関に申込み・貸付・返済・金融事故情報を互いに掲載して参照できるようにしたことで、他社で起こした金融事故情報を共有できるようになりました。
この金融事故情報のことを通称でブラックリストと呼ばれています。
実は「ブラックリスト」というリストは存在しない!?
意外に思われるかもしれませんが、ブラックリストという名前のリストは存在していません。
正しくは、個人信用情報機関へ登録されている情報のうち、異動情報という欄に掲載されている金融事故情報のことがブラックリストに相当するものです。
確かに異動情報と呼ぶよりも、ブラックリストと呼んだ方が分かりやすいですね。しかし、自らがブラックリストに登録されているか確認するには、異動情報が実質的なブラックリストだと覚えておきましょう。
「信用情報」を管理する信用情報機関とは
貸金業者との取り引きは、申込みや返済に関わらず、全て信用情報として貸金業者が加盟している個人信用情報機関へ登録されます。
信用情報機関は、貸金業者同士が集まってできた任意団体が始まりですが、信販会社が加盟するCICという個人信用情報機関については、貸金業法と割賦販売法に定められた指定信用情報機関として日本国内で唯一定められています。
消費者金融が加盟するJICCと銀行が加盟するJBAについては、個人信用情報機関という扱いですが、貸金業者はCIC・JICC・JBAのうち1つまたは複数の個人信用情報機関へ登録しており、カードローンの申し込み時に信用情報照会先として利用しています。
全国銀行個人信用情報センター(JBA)は銀行系の信用情報機関で、JBAの他に全銀協やKSCとも呼ばれています。全国銀行協会が1973年に消費者信用の円滑化等を図るために設立された個人信用情報機関のうちの1つです。

JBAは「銀行を主な会員」とする信用情報機関なので会員になるハードルが高いようです。
ブラックリストが消えるまでの期間は原因と信用情報機関で違う!
個人信用情報機関へ登録された信用情報のうち、ブラックリストに相当する異動情報に掲載される情報の種類と掲載期間を知っておけば、再度カードローンへ申込み可能となる時期を計算できます。
具体的にブラックリストから消える期間は、発生原因と信用情報機関により異なるからです。
ブラックリストに登録される4つの原因
ブラックリストに登録される主な原因は4種類あります。具体的にどのような理由により登録されてしまうのか知っておけば判断しやすいです。
逆に考えると、4種類の原因に該当しなければ、ブラックリスト掲載はありません。
返済が遅れる
返済状況は毎月信用情報として登録されますが、異動情報に掲載されて長期間記録が残るのは、3ヶ月以上延滞が続いた場合になります。1ヶ月遅れた程度では、ブラックリストに載ることはありません。
少なくとも2ヶ月以内に延滞は抑えておく必要がありますが、貸金業者によって締め日が異なるので、本人が2ヶ月延滞と考えていても実は3ヶ月に達していてブラックリストに掲載されてしまう可能性はあります。
債務整理をする
債務整理を行なった際には、貸金業者にとって得られる収益が実際に反故にされたことになるので、ブラックリストに掲載されてしまいます。
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産・特定調停と種類があるので、貸金業者に与える影響度合いにより、ブラックリスト掲載期間も変わってきます。
過払い金返還請求を行なった際には、残債と相殺して債務が残らなければブラックリスト登録されることはありません。
強制解約される
貸金業者から強制解約が行われることは、収入証明書の偽造や勤務先の虚偽申告などといった理由により、強制解約が行われた事実が記録されます。
利用規約に対して、よほど悪質な違反をしない限りは、修正すれば済むことがあります。しかし強制解約を行われた事実がブラックリストに掲載されると、信用情報を参照した貸金業者からの借入は不可能でしょう。
代位弁済される
銀行カードローンを契約する際に、保証会社との保証契約を条件とした貸付が行われます。
銀行カードローンは、低金利で貸付が行われるので、滞納に関しては厳しく対処が行われる傾向にあり、3ヶ月程度の滞納で代位弁済請求を保証会社に対して行うことになります。
代位弁済請求をされた保証会社は本人の代わりに債務全額を一括払いしなければなりません。代位弁済を行なった事実は、債権回収に回ったことを意味するので、強制解約とセットで行われることが多いです。
信用情報機関別のブラックリスト登録期間
信用情報機関により異なるブラックリスト登録期間は、CICとJICCでは共通して延滞と個人再生については解消してから最大5年間、個人再生以外の債務整理・強制解約・代位弁済については発生時点から最大5年間がブラックリスト登録期間です。
一方、銀行が加盟するJBAでは、多くはCICとJICCと共通で最大5年間ですが、債務整理の中でも個人再生と自己破産については最大10年間と長期間掲載となる点に注意が必要です。
ブラックリスト掲載条件 | CIC | JICC | JBA |
---|---|---|---|
61日以上延滞 | 5年 | 1年 | 5年 |
3か月以上連続延滞 | 5年 | 5年 | 5年 |
強制解約 | 記載なし | 5年 | 5年 |
債務整理 | 5年 | 5年 | 5年 |
自己破産 | 7年 | 5年 | 10年 |
代位弁済 | 記載なし | 5年 | 5年 |
ブラックリスト登録から5年~10年経過すれば、ブラック情報は消えることになりますが、登録期間はカードなどの利用歴が記載されないので審査には通りにくい状態となります。
ブラックリストが消えるまでの期間は延滞している返済分を完済した日からカウントされるので、返済が終わっていない間はブラックリストが消えることはないので注意してください。
信用情報を開示して確認してみる
ブラックリストに登録される発生原因別に最大登録期間が決まっているので、新たにカードローン申込みを行なう前に、信用情報機関へ個人信用情報開示請求を行なうと良いでしょう。
本人であれば郵送または直接出向いて開示請求が可能です。
ブラックリスト入りしているか確かめる方法
ブラックリストに入っているか確認する方法としては、実際に金融事故を起こした貸金業者が加盟する個人信用情報機関を利用規約から確認し、該当する個人信用情報機関に対して個人信用情報開示請求を行えば確実です。
郵送や窓口に出向いて、異動情報欄に登録されている事項がないか確認しましょう。
異動情報に掲載されるネガティブ情報は、国内3つの個人信用情報機関同士で共有されているので、1社開示請求すれば確認可能です。
心配ならば、指定信用情報機関のCICと銀行が加盟するJBAの2種類開示すれば網羅できます。

信用情報機関の個人情報開示については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
もしかしてブラックリスト入り?!信用情報の確認方法とカンタン回復術
信用情報の開示をすることでデメリットはある?
信用情報の開示請求を行なう際にデメリットとなるのは費用がかかることだけです。
1つの信用情報機関あたりに1000円前後の手数料が必要となるので、窓口開示が難しい地方在住者にとっては往復郵送料も掛かってくることになります。
信用情報を開示請求したからといって、審査に影響することはありません。
ブラックリストの人が知っておきたい知識
個人信用情報を開示請求して異動情報の掲載があった場合、カードローンへの新たな申込みをしても審査に通過することはありませんが、他にも知っておきたい注意点があります。
ただ闇雲にブラックリストから削除されることを待つだけでは、不安ばかりが積もってしまいかねません。
完済までの期間もブラックリスト入り?
ブラックリストに延滞情報が掲載されたり、個人再生手続きが行われたりする場合には、完済を行なった時点からブラックリストが消えるまでの期間カウントが始まります。
自己破産を行なって免責決定を受けた時点からのカウントとは異なるので、返済が続いている場合にはいつから期間カウントが始まるのか確認しておきましょう。
ブラックリスト期間でも貸付する業者は危険
ブラックリストに掲載されている期間は、大手貸金業者はカードローン申込みをしても審査に通過することはありません。
一方、中小消費者金融の中には、個人再生や自己破産履歴があることを最初から申告させて審査を行っている所もありますが、ごく僅かです。
ブラックOKと謳っている広告を見かけても、苦しいからといって手を出してしまうと、多くの場合は闇金というケースが多いので、一度闇金に手を出してしまうといつまでも返済が終わらず破滅に向かいかねません。
必ず正規業者と確認する必要がありますが、少なくともブラックリスト掲載期間中は新たな借入はしないことが賢明です。
ブラックリストは自分で消すことはできない
ブラックリストを登録または削除できるのは、異動情報を掲載した貸金業者に限られているので、自分で掲載削除をすることはできません。
個人信用情報機関であっても、情報の管理をしているだけなので、ブラックリストの掲載と削除を行えるのは加盟している金融機関のみです。
ブラックリスト期間中ならVISAデビットカード
ブラックリスト期間中で新たなカードローンやクレジットカードを作れない状況であっても、日常生活ではクレジットカードがなければ不便に感じてしまうこともあるでしょう。
ネットショッピングだけでなく、料金支払についてもクレジットカード限定で手数料が免除されることが少なくありません。
ブラックリスト期間中であっても、VISAデビットカードならば、銀行口座の残高と連動しているので、預金残高の範囲内でしか利用できない代わりに無審査で作成可能です。
VISAという名前にクレジットカードを連想しがちですが、国際ブランドのVISAは決済システムを表しているので、デビットカードであってもVISAロゴがあれば同じ決済システムを利用できます。
まとめ
自ら起こしてしまった金融事故情報は、貸金業者が加盟している個人信用情報機関へ異動情報として5年または10年間掲載され続けます。
金融事故が解消した時点から消えるまでのカウントが始まるのか、発生時点から始まるのかは、内容によって違ってくるので、事前に確認しておけば慌てずに済むでしょう。