テレビを見るという人の中で、NHKを見たことがないという人はほとんどいないのではないでしょうか。
NHKはほかの番組にはない独自のカラーがあり、重要な情報を発信している番組が数多くあります。
しかしそのNHKを見るためには、受信料を支払わなければならず、受信料を滞納していると差し押さえにまで発展してしまう場合もあります。
NHKの受信料を滞納している人のなかには、差し押さえの不安に駆られながら毎日テレビを見ているという人もいるでしょう。
そこでNHK受信料を滞納し続けていた場合の、気になる差し押さえまでの期間や差し押さえの内容、対処法などについて詳しく解説します。
NHKの差し押さえ!受信料の未払いが続くとマズイことに!?
まずはNHKの受信料を未払いのままにしておくと、どのような処分が下されるのか、差し押さえの実態や内容についてご紹介していきます。
実際にNHKの受信料滞納によって差し押さえをくらった人の事例や、差し押さえの強制執行の様子などについても見てみましょう。
NHKから差し押さえされた人がいるのは事実
2010年にNHKから差し押さえ処分を受けた人は実際にいて、強制的に財産を差し押さえられています。
NHKが強制執行で滞納者について差し押さえをしたのは、この事例が初となり、NHKが民事手続きによる支払い督促を行った初めての例となります。
支払い督促は債権者が行う支払い申立てにもとづいて、簡易裁判所が行う略式手続きとなります。
参考:滞納受信料 NHKが初の強制執行 | NHK放送文化研究所
差し押さえの対象となるものは?
裁判所からの仮執行宣言があると、NHKは実際に差し押さえをする権限を持つようになります。
差し押さえは、給料や財産、車や不動産といったものが対象となるでしょう。
こうした差し押さえは、ある日突然執行されることもあり、急に給料が差し押さえになるということもありえます。
NHK受信料滞納から差し押さえまでの流れ
では、実際に差し押さえとなる場合、差し押さえまでにはどのようなステップを踏んでいくのでしょうか。
NHK受信料滞納から差し押さえという処分の流れについて確認してみましょう。
滞納が数ヶ月続くと督促状が届く
まず受信料の滞納が数か月間継続してしまうと、初めに料金滞納を解消するように記載された督促状が届きます。
書面や電話で未払いの滞納金を催促されるほか、NHKから委託されている徴収員が家庭を訪問してくることもあります。
滞納が6ヶ月続くと延滞金が発生
滞納金の未払い状態が6か月以上、つまり半年間続くと、その滞納金に対しての延滞金が発生します。
所定の放送受信料に加え、2.0%の割合で計算された延滞利息を追加して支払う義務が生じます。
滞納放置で最終通告!裁判所からの支払督促
滞納している状態を放置していると、次は支払い督促が届くようになります。
支払い督促は、NHKが裁判所に申し立てを行い、裁判所から滞納者に対して督促状を送ってくるという状態です。
裁判所が関わってくることから、強制力がある支払い督促となり、このまま放置してしまうと法的措置(差し押さえ)の処分を受けることになります。
この裁判所からの支払督促を無視すると、仮執行宣言の通知が送られてきます。
仮執行宣言は、直ちに強制執行や差し押えをすることができるという事を意味しています。
また差し押え予告書も同時期に届き、差し押えをするという事を予告した内容になっています。

差し押え予告書が来ると、差し押えという強制執行がいつでも行える状態となっています。
NHKの差し押さえ期間はバラバラ!?半年滞納で要注意!
NHKが実際に差し押さえという最終手段を講じる時期は、それぞれのケースによってバラバラで決まった滞納期間や上限があるというわけではありません。
つまり半年間、受信料が未払いになっている場合には、差し押さえという強制執行処分の対象となっていることを理解しておきましょう。
差し押えの時期がわからないという事は、未納料金支払いの時効が切れる直前で執行される場合もあるということになります。
NHKの差し押さえを止めることはできる?滞納を放置しているときの解決策
このような差し押さえを何とか回避することはできないのでしょうか。
滞納を放置している人であっても、差し押えは何とか避けたい事態です。
滞納を放置してしまって、差し押えが心配な人は、差し押え回避のための解決策を試してみてください。
NHKの営業センターへ相談!分割払いには寛容!?
まずは滞納しているという事をNHKの営業センターに電話相談してみましょう。
原則としてNHK受信料は一括払いが基本ですが、滞納している金額がとても一括支払いでは払うことができない金額という場合もあるでしょう。
そういった場合には、分割支払いという方法で対応してくれる場合もあるので、まずは相談窓口へ相談して交渉をしてみましょう。
参考:NHK受信料の窓口
納得がいかない場合は裁判もあり?!
受診料の支払いにどうしても納得がいかない場合には、異議申し立てをして裁判所に訴訟をすることもできます。
テレビなどでNHKの不祥事を見ると、受信料の支払いに疑問を感じてしまう人もいますし、そもそもテレビを全く見ないという人もいるでしょう。
自分が受信料支払いについて疑問を感じている、受信料を支払う義務がないと感じているというのであれば裁判によって決着をつけることも可能です。
しかし、裁判で訴訟したからといって、必ずしも勝訴できるとは限りません。
むしろ敗訴してしまうケースの方が多く、裁判に訴えるかどうかは十分に考えたうえで行った方が良いといえます。
NHK差し押さえによるトラブル!裁判で勝てる見込みはある?
実際に裁判事例を例に挙げて、差し押さえのトラブルで、勝訴できる可能性について見てみましょう。
契約してしまうと勝訴は難しい?!
NHKに訴えられる、つまり裁判で訴訟を起こされ差し押さえを受ける人には一定の特徴があります。
実は「契約していない人」と「契約していて滞納している人」の間には大きな差があります。
テレビはあるものの契約していない人の契約拒否と、契約してしまっている人の不払い(滞納)では、全く意味が異なるからです。
普通の非契約世帯がNHKに訴えられるという事はあり得ません。
しかし、渋々でも一旦は納得して契約しているにもかかわらず料金を滞納している滞納者は、訴えられても仕方がないということになります。
一度契約をしてしまうと、支払いをする意思があるとみなされて、裁判所に訴えたとしても勝訴することは非常に難しくなってしまいます。
契約不備や時効による勝訴例はある?!
しかし契約不備や時効によって勝訴できるケースもあります。
NHKの受信料を巡る裁判で初のNHK敗訴判決(松戸簡易裁判所平成27年4月15日判決)が出ました。NHKが敗訴となった裁判では、契約書が虚偽という可能性が指摘されています。
また放送法64条1項は「受信設備設置した者は(中略)契約をしなければならない」としています。契約の強制です。これは契約自由の原則を一定程度修正していることになりますが、この条文を巡り、では、いつ、どのように受信契約が成立するのかが問題となっているのです。
契約内容に不備がある場合はもちろん勝訴できますが、NHKの受信料の支払いには時効があります。
5年間以上前の受信料については時効によりNHKから請求されることはありません。
そもそもNHK受信料を支払う義務がある?未契約なら差し押さえされない!?
NHK受信料を支払うのは国民の義務といった風潮がありますが、これは本当なのでしょうか?
実はNHKの受信料は放送法第64条で定められており、国民の義務として位置づけられているのは確かです。
しかし全国民が支払い義務を負うかというと、そうではないという人も存在するのが事実です。
NHK受信料の支払い義務は法律で制定
放送法第64条では、受信契約及び受信料について「日本放送協会の放送を受信することができる受信設備を設置した者は、協会とその受診についての契約をしなければならない」という文言が記載されています。
テレビなどを購入して公共放送であるNHKが見られるようになった人は、半強制的に日本放送協会との契約を結ぶ義務があるという事を意味しています。
しかし、放送法第64条では「ただし放送の受信を目的としない受信設備またはラジオ放送若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備を設置した者についてはこの限りではない」とも書き加えています。
すべての人が必ず受信契約を締結する必要がないことになります。
テレビや受信機器がなければ契約しなくてよい!?
そもそもテレビがない人、受信機器がない人については、全く受信契約義務がありません。
受信契約したところでNHKを視聴することができませんし、徴収員がやってきたとしても、きっぱりと理由を説明して断ることができます。
一度契約すると解約しない限り支払い義務は続く
しかし、一度でも受信契約書を交わしてしまうと、その後解約するまでは支払い義務が生じ、受信料滞納者という立場となってしまいます。
さらにNHKの契約を解約することはかなり難しいため、契約してしまった場合には支払い義務は続くと思っておいて良いでしょう。
NHKを解約したい!解約が難しい理由とコツを詳しく解説
NHKの解約はどうして困難なのでしょうか。また、どうしたら解約することができるのでしょうか。
たとえテレビが無くても解約がスムーズに進まない
ひとたびNHKと受信料契約を交わしてしまうと、たとえテレビが無くなったとしても解約は容易にできるものではありません。
ただ単に「見なくなった」といっても、そんな理由では解約することはまずできません。
受信できる環境があるから受信料の支払いは義務だという理由から、解約の手続きに進めることは難しいはずです。
解約の申し出をしたら、テレビがないという事実を確認するために、実際に家に訪問に来て確認されたという人もいるほどです。

テレビや受信機を撤去して、絶対にNHKの放送を見ないようにしても解約は大変です。
NHKの解約は断固たる強い意志が必要?!
NHKの解約をしたいと思ったら、断固たる意志を持ち、絶対に解約手続きまで漕ぎつけるという覚悟を持ちましょう。
解約方法としては、NHKへ電話し解約したいという旨を伝えることから始めます。
電話の段階で解約に関して引き留められる、解約しないように迫られますが、どうしても解約したいと強く主張し、その理由も説明するようにしましょう。
解約届の書類の送付を渋るオペレーターもかなりいますので、根負けせずに粘り強く交渉しましょう。
その際、放送法第64条の存在や解約できない場合には弁護士に相談するという事も告げると効果的です。
NHKから解約届が送付されますので、必要事項を記入した後、再びNHK宛に返送します。この際、テレビや周辺機器、受信機器などを処分したことがわかる証明書などがあれば同封するとよいでしょう。
NHK受信料滞納でブラックリス入りすることはある?
NHKの受信料滞納でのブラックリスト入りについては、あまり心配する必要はありません。
銀行口座から自動的に引落し、コンビニ支払いや窓口での支払いにしているという人はまず安心して良いといえます。
ただ、クレジットカード決済にしている場合、残高不足で受信料不払いの状態だと返済事故として扱われてしまうことがあるので注意が必要です。
ブラックリスト入りしたくないのであれば、NHK受信料は銀行口座から引き落とすか、コンビニエンスストアでの支払いに変更したほうが良いでしょう。
悪質なNHK訪問員に注意!泣き寝入りしない正しい対処法
NHKの訪問員や料金の徴収員の中には、かなり悪質な人も存在しています。
恫喝して無理やり契約を迫るような人や、断っても何度もしつこく勧誘してきて困らせる、大きな声で脅すようなことをいうというケースも耳にします。
こうした悪質な徴収員には、インターホン越しに対応するようにしましょう。決してドアを開けてはいけません。
また、いつどんな人が訪問に来たか、訪問員や委託職員などの氏名、訪問時間帯、回数、会話の内容などをしっかりと記録しておくことも大切です。
普段からメモを取る癖をつけ、どれくらい迷惑をこうむっているかという事を明らかにしておきましょう。
NHKの受信料制度に関する正しい知識を身に着け、さらに内容によっては警察に通報し、泣き寝入りせずに毅然とした態度で臨みましょう。
まとめ
NHKから差し押さえの予告書や通知、お知らせなどが来た場合には、焦らず滞納解消に有効な手段をいろいろと試してみましょう。
自分がNHKとどのような契約を結んだのか、過去の契約内容に関して確認してみるというのが第一です。
契約の如何によっては、差し押えされても仕方がない場合もありますし、差し押えが不当な場合もあります。
NHKとの関わり方を認識しておけば、集金や勧誘がが来るたびにビクつくこともなく安心することができるでしょう。